交通事故に遭ってケガを負うと、治療のために仕事を休まざるを得なくなることもあります。ケガの回復が何より大切ですが、お金のことも気になるという方も少なくないでしょう。
そんなときに知っておきたいのが労災制度です。通勤中や業務中の事故であれば、健康保険ではなく労災保険が使える可能性があります。治療費を雇用主に出してもらえるので、本人の負担が大幅に減ります。
本記事では、交通事故治療の基本から整形外科で治療を受けるメリット、治療にかかる費用や期間、治療の流れ、後遺症が残った場合の対応まで解説します。
交通事故に遭っても、必ずしも目立ったケガを負うとは限りません。打撲やむち打ちなど、一見しただけではわかりづらい症状もあります。そのようなときに問題なのが、事故直後は、アドレナリンの分泌によって、痛みや違和感を感じにくいことです。「大丈夫」と自己判断してしまい、病院に行かない方も少なくありません。
しかし、むち打ちや打撲、筋肉の損傷などは時間が経ってから症状が出るケースが多く、放置していると慢性化してしまうこともあります。そのため、たとえ自覚症状がなくても、すぐに医療機関を受診し、医師による診察を受けることが大切です。早期受診によって適切な治療を開始できれば、後遺症のリスクも低減できます。
交通事故に遭い、次のような症状があるなら、すぐに病院で医師の診察を受けてください。
これらの症状は事故直後ではなく、数日経ってから現れることも多くあります。
また、次のような精神的な不調が現れるケースもあります。
これらは放っておくと悪化したり、長引いたりする恐れがあります。
「この程度なら大丈夫だろう」などと安易に自己判断をせず、少しでも違和感を覚えたら、整形外科など専門の医療機関を早めに受診しましょう。
交通事故に遭った場合は整形外科の受診がおすすめです。
整形外科での治療には次のようなメリットがあります。
・専門医による精度の高い検査と診断が可能
→交通事故によるケガについての知見が豊富な専門医に症状の原因を的確に見極めてもらえる。その結果、保険会社へ治療費や損害賠償額を適切に請求できる。
・診断書の作成にも対応
→保険会社への保険金請求や労災申請ができる。
・MRIや超音波診断装置、レントゲンなどの検査機器やリハビリ設備など先端設備を導入
→ケガの早期発見・早期治療、効果的なリハビリにより、早期復帰を目指せる。
交通事故でケガを負ったら、治療に専念することが何より大切ですが、お金の問題も気になるものです。完治までにどれくらい時間がかかるのか心配な方も多いでしょう。
ここでは、交通事故治療にかかる費用や治療期間の目安を紹介します。
交通事故によるケガの治療にかかる費用は、症状や治療内容によって異なります。
しかし、通勤中や業務中の事故であれば、労災保険が適用されるケースも多く、その場合は自己負担分はありません。ただし、労災指定病院以外での受診の場合、立て替えなければならないため注意が必要です。
また、加害者側の自賠責保険や任意保険から支払われる場合も、被害者が負担する費用は原則としてありません。ただし、保険会社から賠償金が支払われるタイミングは、基本的に示談交渉成立後です。ご自身で立て替えなければならないため、注意しましょう。
治療期間も、ケガの程度や部位によって異なります。一般的な目安としては1〜3ヵ月程度でしょう。
軽度のむち打ちや打撲であれば数週間で回復するケースもありますが、重症の場合は、半年以上必要なこともあります。
また、痛みや違和感が完全になくなるまでには時間がかかる場合も多く、後遺症が残る可能性もゼロではありません。症状が落ち着いたと思っても、自己判断で通院をやめてしまわず、医師の指示に従って継続的に治療を受けるようにしましょう。
交通事故に遭って負傷した場合に当院で受診頂く際の一般的な流れは以下のとおりです。
01
保険会社に連絡
労災保険を適用する場合は、勤務先から「労災指定用紙」を受領、持参してください。用紙をもらえない場合は、会社から当院へご連絡頂けるよう伝えてください。また、自賠責保険や任意保険を利用する場合は、保険会社に当院で受診する旨をお伝えください。
ご来院・受付・問診票の記入
ご来院されましたら、受付にて保険証や診察券のご提示をお願いします。その際、交通事故による来院である旨、労災の場合は労災保険による来院である旨もお伝えください。問診票をお渡しいたしますので、ご記入をお願いします。ご記入が終わりましたら、受付へ提出頂き、お待ちください。
医師による診察・検査
医師による診察を受けて頂きます。必要に応じてレントゲン撮影や超音波検査、MRI検査を行い、詳しく症状を調べます。
治療・リハビリテーション
検査結果をもとに診断をし、症状に合わせた治療やリハビリテーションをご提案いたします。ご不明点があればお気軽にご相談ください。
病院で治療を受けても、痛みやしびれ、可動域の制限といった後遺症が残ってしまうことがあります。
このような場合は、後遺障害等級認定を受けられる可能性があるため、医師に相談し、「後遺障害診断書」を作成してもらいましょう。
後遺障害等級認定とは、交通事故などで負った後遺症の程度を等級で分類し、損害賠償額を決定するための制度です。等級は1級から14級まであり、症状が重いほど高い等級に認定され、支払われる賠償金も高額になります。
後遺障害診断書は、この後遺障害等級認定の申請に必要な書類です。適切な補償を受けるためにも医師に相談して作成してもらってください。
交通事故に遭ってしまったら、見た目に大きなケガがなくても、早めに医療機関を受診することが大切です。後から痛みや不調が現れ、長引くケースも多いため、たとえ自覚症状がなくても整形外科で専門医の診察を受けてください。 治療費については、労災や保険が適用されるケースが多く、自己負担はほとんどありません。また、後遺症が残った場合は後遺障害等級認定の申請も可能です。 受診のタイミングが遅れるほど、ケガと事故との関係を証明しにくくなり、労災や保険の適用を受けにくくなります。必ず速やかに整形外科を受診するようにしましょう。
川口市栄町にある整形外科『慶友川口駅前整形外科』では、整形外科をはじめ、スポーツ整形外科、リハビリテーション、骨粗鬆症、再生医療など整形外科に関する幅広い領域を通して地域の患者様のお悩みにお応えいたします。お気軽にご相談ください。
大学病院や総合病院で整形外科診療を重ね、埼玉メディカルセンターに約10年勤務。脊椎手術は累計1,700件以上(腰椎1,100件、頸椎520件、その他80件)、その他手術も460件以上の執刀経験を持ちます。整形外科専門医・脊椎脊髄病認定医・名誉指導医などを有し、首や腰の疾患を中心に幅広い整形外科疾患に対応しています。