慶友川口駅前整形外科|埼玉県川口市の整形外科|川口駅徒歩3分

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)

テニス肘として知られる上腕骨外側上顆炎は、肘の外側の硬い骨あたりに痛みが生じる疾患で、テニスをしない方にも多く見られます。

 

40代以降に多くみられますが、家事やデスクワーク等の日常動作でも発症するため、幅広い年齢層で注意が必要です。進行すると日常生活に支障をきたすため、早期の診断と適切な治療が大切です。

目次

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)とは

上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)とは、肘の外側にある上腕骨外側上顆という部位に炎症が起き、痛みを引き起こす疾患です。テニスのバックハンドの動作で痛みを感じることがあることから、一般には「テニス肘」として知られていますが、ゴルフ、バドミントン、卓球などのスポーツをする方にも多くみられます。

 

実際にはスポーツ以外にも、職業上の動作や日常生活における動作、例えばフライパンを使う料理人や家事で腕や手首をよく使う主婦、パソコンのマウス操作が多い方等、仕事や生活動作で手首をよく使う方がなりやすいです。

 

肘から前腕にかけての筋肉が酷使されることで、付着部に小さな損傷や炎症が起こり、慢性的な痛みにつながるのが特徴。特に40〜50代の方に多く見られ、進行すると日常生活にも支障をきたすため、早期の対応が重要です。

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の原因

主な原因は、手首や肘の使いすぎです。手首を反らす・物をつかむ・持ち上げるといった動作を繰り返すことで、上腕骨外側上顆に付着している伸筋群(長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、総指伸筋)に負荷がかかります。

 

これらの伸筋群のつけ根には、腱があり、これが肘の外側で炎症をおこして、痛みとなって現れます。

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の症状

テニス肘を発症すると、下記の痛みが肘の外側に現れます。

  • 手首を反らしたときの痛み
  • 指を伸ばしたときの痛み
  • 物を掴むときの痛み
  • ドアノブを回すときの痛み
  • タオルを絞るときの痛み
  • ペットボトルのフタを開けるときの痛み
  • キーボードを操作するときの痛み

初期にはドアノブをひねる、タオルを絞る、ペットボトルのフタを開ける等といった特定の動作で痛みを感じます。特に「フライパンを使う」「椅子を持ち上げる」「パソコンのマウス操作をする」といった手首を使う日常的な動作がきっかけになることが多いです。

 

また、押すと痛い圧痛点(トリガーポイント)が肘の外側にあり、そこを押すと鋭い痛みが走ります。夜間や安静時に痛むことは比較的少ないですが、症状が進行すると慢性的な不快感が続くこともあります。

片腕に症状が出ることが多いですが、まれに両腕に生じるケースもあります。痛みが長引くと、日常生活の質が低下するため、早期の診断と適切な治療が必要です。

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の検査と診断

診断は問診と身体診察を中心に行われます。患者さんの痛みの出る動作や生活習慣を確認し、肘の外側を押した際の圧痛や、手首を伸ばす動作での痛み(疼痛誘発検査)で診断します。

 

疼痛誘発検査では、肘を伸ばして手首をそらした状態をキープするThomsen(トムセン)テストや、椅子を手で持ち上げるチェアテスト、肘を伸ばした状態で手指を反らす中指伸展テスト等を行います。

 

必要に応じてX線(レントゲン)検査やMRI検査、超音波(エコー)検査などを実施し、腱の断裂や炎症の程度を詳しく評価することもあります。他の疾患との判別も重要で、頚椎由来の神経症状や関節リウマチなどと区別するため、医師の判断で追加検査が行われることがあります。

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の治療法

基本的な治療は保存療法になります。保存療法で効果が乏しい場合には手術が検討されます。近年では、手術よりも身体への負担が少ない再生医療が選択されることもあります。

保存療法

保存療法は、まず仕事や日常生活での負担を減らすことから始まります。症状が落ち着くまではスポーツは控えましょう。肘にかかるストレスを軽減するために、エルボーバンド等のサポーターの装着が効果的です。消炎鎮痛剤の内服や外用薬の使用、物理療法(電気治療・超音波治療)も症状緩和に有効です。

運動療法

運動療法では、痛みの経過を観察した上で、タイミングをみて前腕のストレッチや筋力強化を行います。これは筋肉の柔軟性と耐久性を高めることで、再発防止を図るためです。

 

痛みが強い場合は、局所にステロイド注射を行うこともありますが、繰り返すと腱へのダメージが懸念されるため、慎重な対応が必要です。多くの場合、数ヶ月で症状は改善します。

手術療法

保存療法で効果が見られない場合や、痛みが長期間持続する場合には手術療法が検討されます。

 

手術には、損傷した腱を切除する腱摂理手術、断裂している腱を修復する腱縫合術、関節内の滑膜ひだを切除する滑膜切除術、関節鏡を使って組織を切除する関節鏡下手術等があり、一人ひとりの症状に合った手術が選択されます。

 

近年盛んになってきた関節鏡を用いた低侵襲手術は、術後の回復が早いので、これまでと比べて、患者様の負担も軽減されています。手術は通常、外来または短期入院で行われ、術後はリハビリテーションによって徐々に日常生活への復帰を目指します。症状の改善率は高く、再発も少ないとされています。

再生医療

近年注目されているのが、自己修復力を高める「再生医療」です。とくに「PRP療法(多血小板血漿療法)」が上腕骨外側上顆炎の治療に応用されており、自身の血液から抽出した成分を患部に注射することで、組織の修復を促します。

 

PRP療法は副作用が少なく、保存療法と手術療法の中間に位置する治療法として、アスリートを中心に導入が進んでいます。保存療法で効果が乏しく、手術を避けたい方にとっては、画期的な治療法で、有望な選択肢の一つとなっています。

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)を予防するには

予防のポイントは、「手首・肘の使いすぎを避ける」ことです。肘に過度な負担がかからないように姿勢やフォームを見直すことが重要です。作業や運動の前後には、前腕のストレッチやアイシングを取り入れ、筋肉の柔軟性を保ちましょう。

 

また、一定時間以上の作業が続く場合は、適度な休憩を取ることも大切です。スポーツを行う方は、正しいフォームと道具の使用が予防につながります。前腕の筋力トレーニングも、関節への負荷を減らす上で有効です。

まとめ

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)は、軽度であれば保存療法によって改善が見込めますが、症状が長引く場合は手術や再生医療の選択肢もあります。放置すると日常生活に大きな支障をきたす恐れがあるため、早期の診断と治療が重要です。また、正しいフォームを保つことや日常動作の見直し、毎日の適度なストレッチ、筋力強化を取り入れることで、予防も可能な病気です。肘に痛みや違和感を感じた際は、無理をせず整形外科の受診をおすすめします。

お気軽にお問合せください

川口市栄町にある整形外科『慶友川口駅前整形外科』では、整形外科をはじめ、スポーツ整形外科、
リハビリテーション、骨粗鬆症、再生医療など整形外科に関する幅広い領域を通して
地域の患者様のお悩みにお応えいたします。お気軽にご相談ください。

この記事の監修者
日本整形外科学会認定 整形外科専門医
小川 祐人

大学病院や総合病院で整形外科診療を重ね、埼玉メディカルセンターに約10年勤務。脊椎手術は累計1,700件以上(腰椎1,100件、頸椎520件、その他80件)、その他手術も460件以上の執刀経験を持ちます。整形外科専門医・脊椎脊髄病認定医・名誉指導医などを有し、首や腰の疾患を中心に幅広い整形外科疾患に対応しています。

詳細へ
〒332-0017 埼玉県川口市栄町3丁目4−1 川口駅東口医療モール 2階
JR京浜東北線「川口駅」東口より徒歩3分
診療時間
09:00~13:00
15:00~19:00
日/祝
※ 土曜日の午後(▲)は14:30~17:00※ 初診受付の終了時間は、上記終了時間の15分前まで
WEBサイトの運営方針について
慶友川口駅前整形外科では、日本整形外科学会専門医資格を有した医師が在籍しております。
患者様に正しい医療情報をお届けすべく、医師監修の元、サイト運営および情報発信に努めております。
©慶友川口駅前整形外科
〒332-0017
埼玉県川口市栄町3丁目4−1 川口駅東口医療モール 2階
JR京浜東北線「川口駅」東口より徒歩3分
診療時間
09:00~13:00
15:00~19:00
日/祝
※ 土曜日の午後(▲)は14:30~17:00※ 初診受付の終了時間は、上記終了時間の15分前まで
WEBサイトの運営方針について
慶友川口駅前整形外科では、日本整形外科学会専門医資格を有した医師が在籍しております。
患者様に正しい医療情報をお届けすべく、医師監修の元、サイト運営および情報発信に努めております。
©慶友川口駅前整形外科